第12章 「痛いのでしょう?」「ねえ、この血が止まらない」
ある日、変な女が住み着いていた。
Ep-12:「痛いのでしょう?」「ねえ、この血が止まらない」
――不知火視点――
「誰だよ、お前?」
「いや、アンタこそ誰?初対面で失礼じゃない?」
いや、絶対お前の方が失礼だろ!と俺が突っ込む前に、天霧のオッサンが後ろから現れた。
「失礼。我らは風間の知り合いなのだが、彼は?」
「千景?千景ならそろそろ北斗の散歩から帰って来ると思うけど――。」
「散歩ぉぉ?!てか北斗って誰だ!」
「――何かヤダ、貴方。何?」
「お前こそ何だよ!」
ぎゃあぎゃあと言い争いをしていると、やがてアイツが帰って来た。
「――天霧、不知火も。何をしている?」
柴犬を連れたまま、偉く不機嫌に言い放ったのだ。
「そりゃこっちのセリフだ!しばらく来ねぇうちに何だ、この女!それにその犬!」
「――アナタ、千景の何?恋人?」
「綾女、気持ちの悪いコトを言うな。」
本気で嫌だったのか、風間は恐ろしく整ったその顔を破顔させる。
「だって。まるで浮気を問い詰める女の人みたいじゃなかった?」
「確かに。」
天霧のオッサンまで頷くものだから。
俺は思わず叫んだ。
「違ぁぁぁぁう!俺はノーマルだぁぁ!」
その後、風間に殴られたのは言うまでもない。