第1章 初めまして、審神者さん
「僕は小夜左文字。 あなたは……誰かに復讐を望むのか……?」
桜がふわりと舞い、現れたのは身丈に合わない大きさの笠を羽織り、青い袈裟に身を包んだ少年。
青い髪は不揃いで、赤い紐で結ばれている。
「あなたは……」
「久しぶりだね、小夜」
小夜の視線の先には歌仙が。
そんな歌仙は優しく目を細め、小夜の頭を優しく撫でた。
小夜はくすぐったそうにしながらも、静かにコクリとうなずく。
「なんやら訳ありな子ぉ来たと思いましたが……。 なんとかなりそうですなあ」
間延びしたようなのほほんとした声で言う。
初対面での会話が「復讐する?」なんて、愛希には耐えられなかったようだ。
「あ、小夜さん! 復讐ならこの狐にしてください!」
そう言って女性は、こんのすけを抱き上げた。
こんのすけは「なぜーー!?」と言いながら、じたばたと暴れている。
どうやら、先ほどの羊羹のことを根に持っているようだ。
「ああ、ああ……。 後でもう一回作っておきます。 ですので、今回は多めに見てあげて……」
「……わかりました」
女性は府に落ちないようだったが、しぶしぶとこんのすけを下ろす。
こんのすけは涙ながらに愛希にお礼を言った。