第3章 お世話係になりました?
そんな様子の一松くんを不思議に
思いながらも私は一松くんと猫に近寄り
猫の頭を軽くなでた。
猫は瞳を細めながら長い尻尾を
ゆらゆらと揺らす。
その愛くるしさに私がにこにこと
笑みを浮かべていると…
一
「……」
『一松くん…?』
不意に伸びてきた一松くんの手が
私の頬を優しく撫でる。
猫から一松くんに視線を向ければ
ジッとこちらを見る一松くんと
目が合う。
あれ…おかしいな…
一松くんとの距離がどんどん
近くなってるような…
『い…ちまつ…くん?』
一
「……」
私が慌てて彼の名を呼んでも
一松くんは何も言わず顔を近づける。
そのあまりの近さに私は思わず
瞳をつぶりぎゅっと拳に力を込めた。
『…っ…ふ』
頬に触れる一松くんの親指が
微かに動き その何とも言えぬ
くすぐったさに
私は軽く吐息を漏らした。
「にゃあ」
一
「……っ…」
猫の鳴き声が聞こえると彼の手が
びくりと揺れたのが分かった。
そっと瞳を開けると一松くんの
顔が目の前にあり 私は顔が
赤くなるのを感じた。
一
「……可愛すぎるから お仕置き…」
『へ…?』