第3章 お世話係になりました?
一
「部屋 ここだから。多分好きにしていいと思うよ。どうせ空き部屋だし…」
『分かった。ありがとう一松くん!』
一
「…別に」
顔をそらす一松くんに
首をかしげ繋がっていた手を
離すと中に入った。
部屋の中心には段ボールが
いくつかあって
タンスやクローゼットなど
必要最低限のものは
揃っているみたい。
『…そう言えば皆の部屋ってどうなってるの?流石に六部屋あるってことはないよね?』
一
「普通に一部屋。広いから別に狭くないし」
『へえ!そうなんだ。…ふふっ やっぱり仲良しなんだね?』
一
「……別に そんなんじゃないよ」
そう言いながらそっぽを
向く一松くん。
もしかして照れてるのかな?
ふふっ 可愛いなぁ。
「にゃ〜」
『…猫?』
え?どうして猫がさも当たり前のように
部屋の隅で丸まってるの?
私が猫を見つめ瞳を丸くしていると
一松くんが部屋の中に入り
慣れた手つきで猫を抱っこした。
一
「…猫 好き?」
『へ?猫?』
一松くんの問いかけに思わず
変な声が出てしまった。
一松くんは私の言葉に
軽く頷く。
『…好きだよ。ふわふわしてて 見てて凄く癒されるから 大好き…』
一
「……っ…」
私が言いながら微笑みかけると
なぜか一松くんは顔をそらす。