第16章 夜会
華やかな音楽と共に夜会が始まる
レナは客人に挨拶をしてまわる
彼女をよく知る親戚などは、こそこそと彼女を見るなり騒ぎ立てる
『随分と、美しくなられた』
『やはり、レオ様の事があって意識が強まられたのではないかしら』
誕生パーティーとは全く異なる雰囲気の彼女に周りは動揺を隠せないでいた
彼女はその心無い言葉を聞き流し
逆巻のみんなと合流する
「お疲れ様です。レナ」
レイジは一つのグラスを私に手渡す
中身は洋酒だろうか、少し紅い色をしている
「ありがとう」
「よく似合ってますよ。そのドレス」
カナトはレナの横で優しく微笑む
「そうか?馬子にも衣装だろ、くくっ....」
「もう、アヤト!」
みんなの前だけでは夜崎のお嬢様なんて肩書きを気にしないでいい
とても、気が楽だった
『あっ、申し訳ございません』
ふと見ると入口の方で何かあったようで、
人々が避けてゆき、道を開ける
なんの騒ぎだろうと思って、私は後ろへ向かう
すると、そこには4人の男性が居た
「!」
見間違えるはずがない、私はその姿を見て驚きを隠せないでいた
黒色の短髪で美しいほど整った顔....
それは、あの森で出会った時の事を無意識にも思い出させた
先頭に立つ、彼もふと気付いたのかこちらに目を止める
ずっと、会いたかった
『ルキくん....』