第16章 夜会
時は流れ、ついに夜会の日がやってきたーー
屋敷には多くのヴァンパイアが来ており、皆会場へ集まる
夜崎家に着いた逆巻のリムジンからはパーティー用の服に着替えた逆巻の面々が出てくる
明らかに他のヴァンパイアと違う雰囲気で周りもざわめき、頭を下げる
「ったく、やっぱ嫌いだぜこの空気...」
スバルは胸元を抑える
「全くです。だから下界に居るってゆうのに、何で何度も魔界に連れ戻されなきゃいけないんですか...」
カナトは息苦しい魔界に不満を吐く
「貴方達。くれぐれも逆巻の名を穢すことのないようお願いしますよ?」
レイジはくいっと眼鏡を上げ、その下からは鋭い目で2人を睨む
「見て見て〜♪
すっごい女の子達がこっちを見てるよ?
もしかして、僕に用かなー?んふっ♪」
会場の前には多くの女性客がこちらを見ていた
「ちっ...どうせ、シュウ目当てだろ」
カールの魔力が緩んできたとたんに名家の家の女達は顔色を変えて、次期当主の妃の座を狙ってくる
それが最も有力だとされるのが逆巻シュウなのだ
「だる...俺は興味無い」
「ちょっと!シュウ!」
シュウは道を外れ、屋敷の裏へ行く
「全く....」
「そういえば、レナはどこにいんだよ?」
スバルは周りを見渡す
「彼女は一応、夜崎家の代表
きっと....」
みんなが屋敷に入ると丁度奥の扉が開いたところだった
ヴァンパイア達は話を止め、そちらを向く
全員が息を呑む
扉から現れたのは
薄ピンク色の綺麗なドレスを身にまとい
茶色の髪を纏め上げた美しい1人の女性
いつも見ているはずの自分達でさえ、彼女に目を奪われた
その女性は裾を少し持ち上げ、一礼する
「皆様。本日のお集まり、大変嬉しく感じております
お初目にございます方々も多いと存じます
私の名は
"夜崎レナ"」
『レナ様!!』
『レナお嬢様!!』
ヴァンパイアは噂でのみ知る彼女の名を嬉しげに放つ
今まで布で隠された姫の姿を見て、皆歓喜に満ち溢れる
しかし、素性を知る者や、レナ自身も
彼らの姿に警戒せざるを得なかった
きっと初めて見る姫君の姿に皆同じことを思っただろう
ーーーーーこの方は"特別"だと