第14章 真意
「そうゆう事でしたか」
レナの居なくなった部屋にレイジの声が響く
シュウが少し首を傾けると、いつものようにしたり顔が目に入る
「おかしいと思ったのですよ。
貴方がレナを餌として見るなんて出来るはずがありませんから 」
「........」
レイジは知っていた
シュウがレナの事を妹のように大切に思っていることを
「...だったらなんだ」
「あなたはどうするつもりなのですか
このままでは我々一族の統率もつかなくなり、この逆巻も戦乱に巻き込まれてしまいますよ」
「俺に....この家を継げっていうのか?」
レイジは少し苦い顔をする
しかし、彼はもう理解していた
この家の当主に相応しいのが誰なのか
いや....本当は昔から分かっていたのかもしれない
「えぇ。私にとっては些か不愉快ですがね」
「お前がそんな事を言うのは珍しい」
こいつも気づいているんだろう
この世界の不穏な空気の存在に
だから、シュウも覚悟を決めていた
こんな事彼自身、絶対しないと思っていたが、もう彼も我慢出来ないでいた
大事な物を傷つけられ、失う辛さを味わう事に比べれば当主になる方が面倒な思いにかられなくて済む
それに、これ以上カールハインツ達に左右されるわけにはいかない
ラルク家に罰を下さないところをみると
きっとカールハインツはこの状況もをゲームとして楽しんでいるのだろう
「でも、どんな方向にはしろうと俺はレナの血は吸わない」
「!
ですが、レナの血無しで父上を倒せるとは思えませんよ。
あの方の魔力は弱まわってなどいない」
「あぁ。知ってる。
あいつは自分の作ったゲームの為にそう思わせてる
けど、お前はあいつにそんな事できるか?」
「!」
普段は絶対に聞かないし、話を避けていた話題をシュウは問う
「....それは....」
レイジは黙り込み、ため息をつく
「無理だろ」
シュウは少し伏し目がちになる
「....あいつをこれ以上巻き込むわけにはいかない
逆巻の問題にも....夜崎の問題にもな
....このままだと母親の後を追わせる事になる....」
「!
....エレナ様....ですか....」
2人は幼い頃の記憶を思い出す