第14章 真意
あぁ....俺は知ってる
この絶望的な状況でも真っ直ぐなこの瞳をーーーー
「あんた自分が何言ってるか分かってる?」
「ッ!!」
シュウは一瞬にして私の目の前に来る
「その言葉だと....自分を売ってるようにしか聞こえない。
あんたは自分の運命が嫌で、ここから抜け出したんだろ?」
「っ!!それは違う!」
レナはシュウの言葉を否定する
「は?」
レナは下を向く
「....怖かったの....
みんなが私の血を吸ったら....もう、
みんなとは今までのような友達じゃ居られない....そう思って....」
「ッ....」
違う....俺はそんな事が聞きたいんじゃない
「でも....間違ってた」
レナは優しく微笑む
「....みんなはその事実を知ってても、私を個人として見てくれてた...
全ての原因は私の心の弱さ....」
「........」
なんで....こいつは俺達や親父を恨まない....
本当はレナに罪なんてない
ただ、夜崎家に生まれ
あの男の目に止まった
そう俺みたいに....
「だから、今は貴方に謝りたい
ごめんなさい....シュウ....」
レナは目を閉じて俺に軽く頭を下げる
いつからこいつはこんなに素直になったんだ
それに、つい先日までの幼さは微塵もみえず
今は堂々として、そこに立っていた
俺は初めてこいつを1人の女として"綺麗"だと思った
「だから....私はシュウ達にならーーー
レナが言葉を全て言い切る前に視界はシュウの胸に塞がれる
「もう、いいから。黙って....」
彼はいつもより優しい声で囁く
私は驚いたが、抵抗はしなかった
なんだか....初めて彼の目に自分が映ったような気がする....ーーーー