第14章 真意
『レナお嬢様....!!』
『よくご無事で....』
執事やメイド達は私を見るなり心底ほっとしたような顔をした
昔からお世話になっている爺やは少し涙ぐんでいた
自分が思っている以上にみんなに迷惑をかけていた事を実感し、私は頭を下げた
「ったく...いいご身分だな」
「!」
声が聞こえたほうを見ると、リビングの端のソファーにはシュウが横たわっていた
「シュウ....」
彼の鋭い目がこちらを向く
使用人達は部屋から出ていった
部屋には2人だけになる
冷たい空気が包み込む
レナはとても、気まずかった
あの日の事が蘇る....
「俺のこと、突き飛ばしておいてよく戻ってきたな」
「ッ!!....あれは....」
怖かった....
そう言いたかったが言葉が口から出ない
「あんた、あの話きいてまた帰って来るなんて相当馬鹿なのか....それとも、本心では俺達に血を吸われたいって思ってんのか?」
「っ!!そんなわけないじゃない!」
私は思わず声を荒らげる
「じゃあ、なんでお前はここにいる」
少し声色の変わったシュウが尋ねる
それは....ルキくん達が連れ帰ったから....
うんん....違う
私は遅かれ早かれここにまた戻ろうと決めていた
自分の運命と向き合う為には彼等との事は避けては通れない....
今の私には無神家とは安心できる理想郷なのかもしれない
けど、こんな曖昧な自分にとってあそこに居ることは全てから逃げる事のような気がしていた
「....私がみんなの生け贄だって知った時はもう死んでもいい、ここには帰りたくないって思ったよ
けど....外の世界に出て私は知ったの....
悪循環といえるほどのこの世界の現状を....」
「........」
「それに....御兄様が殺されて初めてわかった....大切な人の死がどんなに辛いかって事....
私はもう誰も失いたくない。
御兄様も....シュウ達も....」
「!」
偽りのない言葉にシュウは動揺する
そして、彼は気づいた....
「だから....その目的に必要なら私はあなたにこの血を捧げる」
「!」
彼女の眼差しは覚悟を決めた、そんな眼をしていた