第13章 切望
ルキくんの事を考えると胸が張り裂けそうなくらい傷んだ
きっと、私をここに帰すよう指示したのは彼だ
レナは深読みをするように考えを巡らした
私が彼の血を吸ったから....見切りを付けられたのかな....
私は....血に飢えたヴァンパイア....
そして、ルキくんの血を啜った
なんて醜いんだろう....
あの家では迷惑や面倒をたくさんかけてしまった
ルキくんが私を嫌っても....仕方ないよ
彼等にとったら私はただの厄災....
けど、お礼も何も言えなかった
やっと彼の事も思い出せたのに....
まだ記憶が曖昧だけれど、彼が私の大事な人だということは記憶の断片から伝わってきた
考えれば考えるほど心の底が疼く....
ーー記憶の中の幼いルキくんは私から段々離れていってる....そしていつも頬には涙が伝っていた
その涙の理由は分らない
けれど、きっと....私が傷つけているんだ....
『さよならだ』
完全に意識が飛ぶ直前....私は一瞬この言葉を聞いた気がした....
そして....
レナは唇に触れる
ルキくんの感触を微かに覚えてる....
どうして....キスなんか....
意味なんて分からないけど、今の私は彼を忘れられることなんてできない
ーーー会いたいよ....ルキくん....ッ....