第13章 切望
「ッ....」
ーー扉の前に1人の人影....
部屋の中からはレナのすすり泣く声が聞こえてきた
「チッ....」
扉の前で扉の把手に手をかけていたのはアヤトだった
しかし、彼は扉を開けることなく手を下ろす
彼の手は若干震えていた
『レナの血を手に入れろ』
「!」
祥匙の言葉が頭をよぎる
ーーくそっ....俺は何をこんなに悩んでるんだ。
たかが、女1人の血を吸うのにここまで躊躇して....
そう、いつもの事だろ
俺達ヴァンパイアにとったら血を飲む事は息をするのと変わらない
ただ、今までそうしなかっただけで....
"アヤトは....優しいね"
「っ!!」
かつて聞いた彼女の言葉が蘇る
体はよく分かっている
なんで、自分がこんなに躊躇するのか....
アヤトは拳を強く握る
ーーーでも....俺は守らなきゃならねぇんだ....