第13章 切望
「なんで....スバルが....」
私は、はっとする
いつもと違う色のシーツ....
白いレースのカーテン....
ここは明らかに無神とは異なる雰囲気で私は驚く
レナが居たのは逆巻の屋敷だった
「どうして....」
私は確か....無神の家のキッチンで倒れて....
それからの記憶は私には無かった
『連れ帰ってきたのですよ』
「!」
扉の前には、朝食を手に持っているレイジが居た
「レイジ....」
彼は机の上にそれらを置くと、私の方に歩み寄る
ーーーーーパシンッ!!
「ッ!!」
「お、おいレイジ!」
部屋の中に酷く乾いた音が鳴り響いた
私は咄嗟の事で状況が掴めないでいた
じんじんと頬が振動するように痛い
目の前には怒りに満ちたレイジの瞳と
驚き動揺するスバルの姿が見えた
「貴方はどれだけ人に迷惑をかければ気が済むのですか!?」
レイジはレナに怒鳴りつける
レイジはずっと彼女の行方を探し、無神に居た間も使い魔に彼女の安全を確認させたりしていた
レイジにとってレナは妹のように大切な存在だ
そして、彼は1つため息を落とし
ぎゅっ....
レナを優しく抱きしめる
「全く....どれだけ心配したことか」
レイジは安心したようにホッと肩をなでおろす
「レイジ....
ごめんなさい....」
私は彼等とどんな顔をして会えばいいのだろうかと、ずっと考えていた
あの日....家を飛び出し、一瞬でもこの家に居たくない、みんなとはもう一緒に居られないと思った
けどそんな事、考える必要は無かったのだ
たとえ、どんな秘密や理由があっても
この人達は私の中でずっと大切な友達で
レイジのこの温かい包容も
スバルの優しく見つめる瞳も本物だ