第12章 衝動
今までがどうかしていたのだ
ヴァンパイアの彼女が血を求めないなんて....
血に飢える苦しみを俺はよく知ってる
嫌なくらい....
何故ならーーーーーーー
「レナ、こっちを向け」
ルキは彼女の涙に濡れる頬をさすりながら
虚ろな視線をこっちに向けさせる
そして....
シュッ!!
「!」
ルキは自分の首に爪を立てる
ヴァンパイアの爪は人間より鋭く、皮膚なんかは簡単に引き破る
「ルキ....くんッ....?」
ーーードクッ!!
またも動悸が早まる
彼女の視線の先には、ルキの首筋に流れる血があった
今までにないくらい、ハッキリと血の匂いを感じる
私の喉はその新鮮な血を求め、余計に疼き出した
「飲め」
「えっ....ッ....」
ルキは私の目を見つめる
何だか、彼の目はいつにも増して辛そうだった
私のせいだ
彼の血を吸うなんて絶対に出来ない
レナは首をふり、必死にルキの血を見ないようにする
だが、ルキは顔を背けさせてはくれない
「その飢えからは逃げられない。
そのままでいると、理性も感性も奪われ、怪物になるぞ」
「ッ!!」
彼の言葉にまた涙が溢れる
そんなの絶対に嫌だ
でも、ここで彼の血を吸って彼をまた傷つけるのは....
「もし、お前が俺の血を吸いたくないと言うなら、人間でもいい、他の奴を連れてきてやる
だから....」
「っ....」
違う....
私は、凄く飢えてる
だけど、きっと他の人の血じゃ駄目なんだ....
私は....
「ごめんなさい....ルキくんッーーー
私は強くルキくんに抱きつく
そして、ゆっくり彼の首筋に牙を突き立てた
「ッ!!」
初めて牙を使った為、まだ初々しさがあるのか、加減がよく分からずルキは少し顔を歪めた
血を吸っている間、彼女はずっと泣いていた
一方、ルキは少しホッとした顔をしていた
きっと、他の人の血を吸っても満たされない....
私が飢えているのは...."ルキ"くんの血なんだから....ーーーーーー