• テキストサイズ

Forbidden love

第12章 衝動



喉に彼の血が流れていく

ルキくんの血は驚くほど甘かった

けど、それだけじゃない

何だか、懐かしく、温かいーーーーー


「っ!!」

レナはルキの首筋から牙を抜く

酷い渇きはおさまったが
何だか、頭が痛い....


『レナ!』

幼い子供の声....

誰かに名前を呼ばれる

不思議とその声に安心感を覚えた

ーーーーこれは記憶?

血を伝って相手の記憶や思いが見えるというのはよくある話だ

ぼんやりと、1人の男の子が私に手を伸ばすのが見える

段々とその人影は鮮明になってくる

私はその男の子の事をよく知っていた

そう、昔からーーーーーー


『ルキ』


「ッ!!」

レナの口から出たのは昔懐かしい、自分を呼ぶ声だった

思わずルキも動揺する

「レナ....お前....」

バタッ....

レナはそのままルキに倒れ掛かる

彼女の顔は酷く赤くなり、喉には赤い爪の跡がたくさん出来ていた

彼女の傷を見るとまた胸が締め付けられるように傷んだ

ルキは泣きつかれ眠りに落ちた彼女を愛おしそうに抱きしめる

本当はずっと、昔からこうしたかった

こいつの笑顔を守れるそんな場所に居たかった....

これからも....

「ふっ....」

ルキは自分を嘲るように笑う

(そんな事....叶うはずないのにな....)

しかし、それとは裏腹に瞳は今にも涙を流しそうだった

ルキはレナの頬を撫でる

あの夜、お前に出会ってから俺はずっと後悔だらけだ

だから....今だけは....この一瞬だけ、俺は自分の気持ちに素直になろう....
いや、なりたいんだ....

そうじゃなければ、俺の心はまた後悔に苛まれる

ルキはゆっくり彼女の唇に近づいた

「ッ....」

2人の唇が重なる

そのキスはとても儚く、温かかった


不思議だな....お前にはまるで体温があるようだ....


そう、いつもこの温かさに助けられていた

だからこそ、こいつだけは....この温もりだけは絶対に傷つけたくない....


だから....







『さよならだ。レナ....』








/ 174ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp