第12章 衝動
「できた」
レナは部屋で花瓶に薔薇を添えていた
この家の庭には逆巻にも負けないくらい、とても綺麗な薔薇園があって、私が見とれていると、コウくんが摘んでもいいと言ってくれた
この薔薇は兄弟みんなで手入れをしているそうで
永遠に咲き続けるかの様に、赤く、綺麗に咲き誇っていた
花瓶に添えた薔薇を眺める
「綺麗....」
薔薇には、愛や恋など....熱い花言葉がある
それを見ていると、私の頭には何故かルキくんが浮かんできた
先日見た、彼の温かい笑顔を思い出す度
私の心は熱くなる
この気持ちをなんと呼べばいいのか....
そう、この薔薇のように気高く....血のように赤く....ーーーー
"血....?"
ーーードクンッ!!
「ッ!?」
鼓動が脈打つ
私は突然、心臓を圧迫されるような感覚に陥る
思わず、その場に倒れ込んだ
(胸が....熱い....ッ....)
息苦しい程の胸の痛み....
私は強く喉を抑える
「ハァ....熱いッ....苦しいよッ....」
私は助けを呼ぼうと立ち上がるが、足がおぼつかず、歩けない
「なんなの....これッ....」
胸の痛みと共に彼女が受けたのは....
(喉が....渇く....ッ....)
狂いそうな程の...."渇き"だった