第9章 無神兄弟
ガチャ
「どうぞ、入って♪」
コウの部屋は服や雑誌が多く、他の部屋より、少し散らかっていた
「ねぇ、コウくん。話って?」
周りの物を避けるコウに問いかける
「うん....それはね」
ぐいっ!!
「きゃっ!!」
コウはレナの腕を引き、ベッドに押し倒す
「放して!」
無理矢理腕をはらおうとするが、コウは体重をかけ、逃げられないようにする
そして、レナの口に手を当てる
「静かにしろよ。ルキくん達が来ちゃうじゃん」
コウは鬱陶しそうな髪をかきあげレナの目を見る
いつもとは全く違う態度にレナは驚く
「話が終わったら、すぐ放してやるからさ
教えてよ。君、ルキくんとはなんなの?」
「えっ....」
予想外の事を聞かれる
ルキくんと....私?
なんでそんなこと....
「明らかに君がこの家に来てからルキくんの様子が変わった
俺は馬鹿だから、ルキくんの考えなんてこれっぽっちも分からない
だから、こうやって君に聞いてるの」
「ッ....」
まるで私の心を読んだみたい....
「....ルキくんは森で私を助けてくれた人....」
「恩人ってこと?」
「うん
でも、私にとって初めてルキくんと出会ったのはあの日でも、もしかしたら....
ルキくんはずっと前から私の事を知ってたのかも....」
あの日....ルキくんが浮かべた顔を私はずっと覚えてる....
あれは私を哀れんでいたの?蔑んでいたの?
それとも....ーーー
『哀しんでいた?』
「!」
まただ、コウは私の心を見透かしたような事を言う
「なんで....」
「俺には全部分かるよ、キミが今強く思った気持ちも言葉も」
コウの宝石のような目が赤く染まる
私はその目に吸い込まれそうになった
「....でも、私とルキくんは何でもないよ」
私は思わず目をそらす
このまま彼を見ていると奥底の恐怖に似た感情まで読み取られそうだった
すると、コウは益々力を強め、私の手を抑えつける
「っ....」
「ルキくんはね、君みたいに単純で、簡単に人を信用する人じゃないよ
でも、もし君がルキくんを騙してるなら俺は君を殺すよ」
コウの目は本気だった
だって....ルキくんは....
俺達にとっても....命の恩人だからーーー