第9章 無神兄弟
「ん?あれって....」
レナがふと廊下の窓から外を見ると、そこには1人の少女と歩くコウがいた
二人は門の前で口付け、その子は帰っていく
(コウくんの....彼女かな?)
仲良さ気な二人を見て少し微笑ましかった
コウくんは凄く美形で可愛らしい
女の子みんなを魅了してもおかしくない
私は羨ましいなと思った
親に言われるがまま従い、自らで何かを求める事が出来ないあの家では、感情の自由は無意識にも欠如されていたのかもしれない
だから....人を好きになる気持ちを私はまだ感じたことが無い....
血を求めないのも、きっとこれが原因だ
『ねーっ?』
「!」
背後から突然話しかけられ、私は驚き、肩が跳ね上がる
後ろにいたのは....
「コウくんッ!」
先程まで、窓の外にいたはずの彼が目の前で私に微笑みかけていた
「な、なんで....」
「んー?すっごい視線感じたから、俺に用があるのかと思って♪」
「!」
そうだ、彼等もヴァンパイアなのだ
あまりに、ここで生活する彼等が新鮮で思わずその事を忘れてしまう
「そうそう、俺も丁度キミに用事があってさ〜
ここじゃなんだから、俺の部屋においで?」
コウは笑顔で手招きする
「話?」
私は問いかける
「うん♪」
私は言われた通り、上の階に行く階段を登る
「........」
すると、後ろからレナを見る、コウの片目が赤く染まる
彼女は知らなかった
その笑顔に潜まれた暗い闇をーーーーーー