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Forbidden love

第9章 無神兄弟




その頃、レオの死を聞いた逆巻家では夜崎同様、不安な声が絶えず噂されていた

まだ若い補佐の死は、同じ家柄の逆巻家にも無関係ではない

これを聞いて、真のヴァンパイア長の決断を急かす者も増え、逆巻家には不穏な空気が漂っていた




「ったく....親戚中からこんなもん送ってきやがって」


リビングではアヤトが大量の便箋を暖炉の火に投げ入れる

手紙の内容は次期当主の事など、どれも同じ様な事が書かれており、アヤトは見もせずそれを燃やしていく

三男の自分でこの量なら、シュウは半端ないだろうなと思い、手紙に埋もれるシュウを想像する

こんな時は長男じゃなくて良かったって心の底から思う

「アヤト」

アヤトが便箋を燃やす後ろで、レイジは紅茶を啜っていた

「んだよ」

レイジは深く溜息をつく

「貴方も一応、当主候補だということを肝に銘じておくべきですよ」

浅はかにもゴミとして扱う、その手紙一つ一つには多くの身内の思いが込められているとレイジは言う

アヤトの手が止まる

今までのアヤトならその言葉に馬鹿馬鹿しいと思って、聞く耳を持たないだろう
しかし従兄弟が殺され、ラルク家が勢力を強める今、彼の意識は変わりつつあった

「あと....」

レイジは紅茶を飲む手を止め、ふぅっと息を吐く

「レオ様の葬儀ですが....遺体も取り返せず、夜崎家も立て込んでおり、執り行われないそうです
レナも今はここに居ませんし....」


「レオ....」

アヤトは拳を握る

彼自身、レオにはとても世話になっていた
昔から彼は鬱陶しくも、自分の事を気遣ってくれた
顔には出さないが、彼はかなりレオの死を受け止められずにいた

レイジはその事を見抜いているのだろう


そして、アヤトの前に1通の便箋が差し出される

「!」

アヤトは差出人の名前を見て驚く

「これも、また燃やすのであればどうぞご勝手に」

そう言い残しレイジはその場を後にする


一方、アヤトは1人立ち尽くす

中を開き、手紙の内容を見る

『貴様と直接話がある

次の満月の夜、夜崎邸へ来い

"夜崎祥匙"ーーー


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