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Forbidden love

第9章 無神兄弟



「おっ!これはもう大丈夫だ」

私とユーマくんは菜園に来ていた

暫くお世話になるのだから、何か手伝わせて欲しいとお願いしたら彼がここまで連れてきてくれた

ユーマくんは大きなトマトを一つずつ丁寧に採っていく

私もそれに習って、可愛らしい野菜達を収穫していく

「この庭はユーマくんが作ったの?」

「あぁ」

辺りを見渡すと、多種類の野菜がたくさん実っている
これだけの数を育て上げるのはとても大変だなと思い、彼を尊敬の眼差しで見る

すると、私は頭上の木が揺らいだのが分かった

ふと見上げると....

「林檎....」

赤く実る果実を見ると、いつも怠惰で横になっているあの人を思い出す

ぎゅっ....

私は震える手を強く握りしめた

いずれ戻らないといけないのに、こんなんじゃだめだなと心の底で思う

すると....

「よっ!」

ユーマはジャンプして、一つの赤い林檎をむしり取る

そして、服の袖で少し磨いて私の前に差し出す

「ほら、これやるよ」

手に乗せられた林檎は大きく、そして重みがあった

「この林檎を兄弟以外にやるのはお前で二人目だ」

「えっ....」

「俺はこいつが大好物だからな

そんな簡単に他人には渡せねぇーよ」

ユーマはふっと笑う

「いいの?私もらっても....」

彼はもう一つ林檎を採って、私の目を見る

「あぁ、やる

お前も普通の貴族とは違う気がするからな....」

ーーお前"も"?

意味深な言葉に動揺する

「みんなは貴族じゃないの?」

「ちげーよ。俺達は元は孤児だ」

「ッ!!」

孤児....

昔、ヴァンパイア同士の戦争で多くの大人が亡くなり、1人となった子供達が大勢居た

それは貴族同士の争いを意味し、人々はそれに巻き込まれたに等しい....

みんなもそれで....

レナは悲しそうに拳を握る

一方ユーマはそんな彼女の表情を見て確信する

ーーーやっぱりコイツは普通の貴族共とは違う....

ユーマは私の頭を掻き撫でる

「気にすんな

それに、貴族はちょっと気に入らねぇけど

お前は認めてやるよ」


彼は私の頭を撫でながら、優しく微笑んだ

その微笑みは私の中のつっかえを溶かしてくれるみたいに温かい....


私はどんな顔をしていいか分からず、手の中にある赤い果実に歯を突き立てたーー
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