第8章 困惑
「....ッ....おにいさま....ッ」
彼の温もりに安心したのか、レナの涙は止まらない
ルキはレナを抱き締めたまま、何か思うように目を閉じる
そして彼女の耳元で囁く
「お前の兄は大切な物を守ろうとしたんだ....
だから....お前はちゃんと前を向け」
「ッ....!!」
ルキは優しく頭を撫でてやる
私は彼の言葉に背中を押された気がした
御兄様は一族や家族のために戦った
みんなが私の知らない計画を起こしても、
たとえ、私が生贄として育てられていたとしても、あの温もりだけは本当だと信じたい
だから....私は....
「ルキくん....」
レナは顔を上げ、ルキと向き合う
相変わらず、彼女の顔は腫れたように赤く、目もどこか重たい
しかし、いつか見たあの表情に似ている....
私は...御兄様のように
大切な人を護りたい....ーーーーーー