第8章 困惑
カールハインツ様の話を聞いて頭が真っ白になった....
あの後、私の元に夜崎家の使い魔がやってきて現在の状況を伝えてくれた
お父様達は皆を引き連れ1次撤退....
レオ御兄様はラルク家に捕まり、拷問され、殺された....
その犯人は、"デニス=ラルク"
彼はラルク家に産まれた1人息子で、
人間である生け贄の花嫁とヴァンパイアの間に出来た子供....
母親は産まれると同時に命を落とし
使い魔によると父親も今回の戦いに姿を現すことは無かったそうだ
もしかすると、この争いは....全て....
ーーーッ!!
あの光景を思い出す
部屋が赤い血に染まり、男が1人倒れている
(あれ....は....)
私は痛む頭を無視し、記憶の奥に踏み込む
茶色い髪に、夜崎の紋章....
「レオ....御兄様....ッ」
なんで....ッ....
夜崎は先日みた記憶の男が御兄様だと気づき、その場に倒れ込む
ーーそれから、何日経っただろうか....
彼女は泣き続けた
時折、頭に浮かぶレオ御兄様の微笑み....
仲間達の喜ぶ笑顔....
この戦いで私達は多くの物を失った....
なぜ、死ななくてはならないのか....
彼等の目的は一体なんなのだ
夜崎家だけではない
多くの一族が光を失っている
それなのに....私は....
レナは拳を強く握る
悔しさと悲しさ....そして不安が頭の中を駆け巡る
ふと、先日命を絶とうとした自分を思い出す
本当に浅はかだった....
生きたくても生きられない人達が沢山いる
私はその命を自ら絶とうとするなんて....
様々な怒りと悲しみが溢れ、涙は止まることを知らない
すると、誰かの気配を感じ、私は振り返った
「ルキくん....」
扉から入ってきたルキくんを見たら、ただそれだけで私の心は安らいだ
すると、彼は私に歩み寄り、静かに抱き締めてくれた
ふと御兄様が戦いに行く直前の事を思い出す
大きな腕は私を温かく包んでくれた....
ーーーレオ....御兄様....ッ....