第7章 来訪
私は使い魔に呼ばれて玄関に向かっていた
きっと、迎えが来たのだ
みんな私が我が儘な者だと言っているだろう
怒られるであろう自分を想像して
少し体をこわばらせ
玄関に行こうと、客間の扉を開ける
「!」
すると、そこには意外な人物が椅子にかけていた
長い髪の毛に整った顔....まるで神様のような美貌
「カールハインツ....様....」
レナは彼を見るなり、裾を持ち綺麗に深く頭を下げる
すると、カールハインツ様は優しく微笑む
「久しぶりだな、レナ。
家出をしたと聞いて驚いた」
彼は昔と全く変わっておらず、魔力が弱まっているようにはみえなかった
私は少し緊張して、ぎゅっと手を握る
「すみません....私....」
「何も言わなくていい」
カールハインツ様は宝石のような目で私を見つめる
きっと、彼には私の心なんて完全に見透かされているのだろう
「とにかく、お前が無事で安心した
シュウ達も心配していたよ」
「シュウ....」
その名を聞くと、あの日の事が頭に浮かぶ
次会う時にはどんな顔をすればいいんだろうか....
きっと、彼は反抗した事に腹を立てている
そう考えると、とても怖かった
下を向くレナをカールハインツは何かを考えるように目視する
「ルキ」
「はい」
カールハインツ様の傍に立っていたルキは返事をする
「よくレナを助けてくれたな」
「いえ....カールハインツ様のお役に立てたのなら光栄です」
ルキは謙虚に言葉を交わす
しかし、彼はなんだか辛そうな顔をしていた
やっぱり、彼もカールハインツ様に恐れがあるのだろうか
ヴァンパイアは基本縦社会だ
それが、行動や態度に現れるのも普通だろう
でも....なんだか彼は少し違うような....
私がじっと見ているとルキがこちらをちらっとみる
「ッ....//」
私は思わず下を向く
何故だろう....
私は自分の事さえよく分かっていないのに
彼の事を知りたい、その表情の意味を理解したいって思ってしまう
この感情をなんと呼べばいいのだろうか....