第5章 無知
私達は、霧の深い森を進んでいく
「チッ....霧がますます濃くなっている」
ルキは少しペースを落とす
一体....彼はどこに向かっているのだろうか....
彼がカールハインツ様と面識があるのなら、やはりあの城に戻るのだろうか....
それは嫌だったが、そんな我が間を言えるはずも無く、レナは大人しくしていた
すると....
「何だか....焦げくさい....」
森の奥がやけに明るい....
私達はその明るい方へ歩み寄る
「なに....これ....」
私達の居る森の下には大きな街があった
きっと一般のヴァンパイアが住んでいるのだろう
だが…そこは赤々しく燃え上がる炎と共に人々の悲鳴が響き渡っていた
火事....?
「ルキくんッ!助けなきゃ!」
私が馬から降りようとすると、彼は私の腕を掴む
「駄目だ」
「えっ…」
なんで…このままじゃ....あの人達は....
ルキは私の言葉を聞かず、そのままその場を離れる
彼女は何もしらない
この世の理不尽さも非情さもーーー