第4章 出会い
月明かりに照らされ現れた彼は、
無造作な黒髪に恐ろしい程整った顔立ちで
黒を身に纏う王子様みたいな人だった
「馬鹿なことをするな!」
「ッ....!!」
そんな彼が私の肩を持ち、怒鳴る
初めてだった....
こんなふうに人に叱られたのは
なんで....ッ....
覚悟を決めた私の意思を崩されたような気がした
しかし、止めてもらってホッとしている自分も居る
矛盾だらけの感情が私の胸を苦しめる
私は様々な気持ちが溢れ出し、言葉の代わりに大粒の涙が流れる
彼の手の力が強まる
『死んだら何も....残らない....』
彼の手は少し震えていた
そして、その言葉は私の心を撃つ
「ッ....ごめん....なさい....ッ....」
私が必死に振り絞って出した言葉は謝罪だった
すると、彼は溜め息をつき、手を離す
ふと顔を上げた時に見た彼の表情が月に映える....
鋭く冷たい彼の目を何故か私は温かいと思った