• テキストサイズ

Forbidden love

第4章 出会い



「はぁ..はぁ...」

私は真っ暗な森の中を走り続けた


今まで私は、1人で屋敷の外に出たことがない
なので、この先に何があるのかなんて私には分からなかった

行くあてなんか無い...

しかし、今は少しでも早く家やあの兄弟から離れたい
その一心で私は駆けた

幸い夜目が効き、月明かりが差していて幾分かは助かった

ふと痛みを感じ、首をさする

絞められた首には赤い指の跡がある

しかし、私は首を絞められた傷よりも心が痛かった

シュウの嘲笑の裏にある、悲しみの表情....

ずっと騙されていた現実...

胸が苦しくなる

少し行ったところに、木が避けてある所があった

私はそこに座り込む

ふと自分の靴が目に付く

私が18になってから様々な物が変わった

この靴だってそう....今までよりもずっと高くて私は慣れるのに苦労した

今ではこの靴も、私をあの屋敷から逃げられないようにする為の物だったのではないか
そう思ってしまう

案の定、私の足には靴擦れができ、血が滲む

私は靴を脱ぎ捨て、空を見上げる

(これからどうしようか....)

私には家族や執事、使用人がいる世界が当たり前だった

しかし、不思議と体が軽い

ちょっと近所の森に来ただけでそう思う私は、今までどれだけ無駄な時を過ごしていたのだろうか


満天の星空に赤い月

ここで朽ちるのも悪くない

そう思ってしまう私は自棄になっているのだろう

「....っ....」

自然と涙が零れる

これは何の涙なのだろうか....

騙された悲しみ?自由になれた喜び?

どちらにせよ、私の心は苦しかった



そのまま、私はその先に見える崖まで歩く

少し体を浮かせると、崖の下が目に映る

森には霧がかかっていて下まではっきりと見えない

その闇に身を委ねたい

そう思うと体が勝手に動き
崖の先に足がつき、体が傾くーーー



私が....私じゃなかったら....少しは変わってたのかな....



覚悟を決め目を瞑る

しかし....


ぐいっ!


私は突然、腕を掴まれ、引き寄せられる


一気に私は現実に引き戻された

そして、その腕の正体を見ようと、顔を見上げる

すると...

「何をしてる!!」

「ッ!!」


そこにいたのは....黒を身に纏う


漆黒の王子様だったーーーー



/ 174ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp