第28章 幸福
「っ!!」
光が差し込んだ直後、脳に激痛が走り、彼女は頭を押さえる
それと同時に空白だった記憶のピースが流れ込んでくる
「これ…は…」
今まで忘れていたあの夜会での出来事に加え、ルキや本当のお母様の事、全ての記憶が繋がった
脳に強い刺激が加わり、レナは車椅子から滑り落ちるように、その場に伏せた
「わたしは.......」
突然のフラッシュバックで彼女の記憶は混乱していた
すると、芝生が音を立て、目の前で先程の男が膝を折る
頭上に優しく手がのせられ、レナはハッと我に返り、その男を見上げる
ボヤける視界がだんだん鮮明になってゆき、彼女の目はハッキリと目の前の男の顔を映した
そこに居たのは全く面識のない青年だったが、彼が放つ魔力とその鋭い瞳には覚えがあった
心から信じ、慕っていたのに
自分を壊し、また愛する人を傷つけた男.......
「お父様.......」