第3章 掟
ドンッ!
シュウは自室にレナを押し込め、扉を閉める
「痛っ....!!何するの!シュ....ウ」
後ろに立つ彼を見上げると
「........」
彼は冷めた視線で私を見下ろしていた
いつもは綺麗だと思っていた目も今は恐怖でしかない
(怖い....ッ....)
彼の手が伸び、私は思わず後ずさる
部屋の端まで追い詰められた所で、シュウの手が私の顎を掴む
「....お前、今にも泣きそうな顔して....そんなにショックだったのか?」
彼は先程の話を持ち出す
「....シュウは知ってたの?」
私は震える声で問う
すると、シュウはまた舌打ちをして
「あぁ。俺だけじゃなく、この家の奴らみんな知らされてた。ずっと昔からな」
「!」
「....あんたの血は特別だ。お前自身も少しは思い当たる事があるんじゃないのか?」
....分かってる....だって、私は....
「魔王の息子の子供だから....」
コーデリアに格別な血があったと言うなら、魔王の息子のお父様にも特別なものがあってもおかしくない
そして....産まれた子供が私....
「そうだ。
でも、あんたの母親はお前に呪縛を掛けた」
「お母様が....?」
思わぬ人物が出てきて、私はハッとする
「お前が産まれた時、ちょうどラルク家と夜崎家は戦いの真っ只中だった。
だから、お前があっちの手に堕ちないようにお前の血の力を封じ込める呪いをかけたんだ。
でも、その期限は"18歳"になるまで....」
18っていうことは....
スーッ....
「ッ!!」
シュウは私の首筋を指でなぞる
冷たいその手は私を一気に怯えさす
「呪いは解かれた....あんたの血....自覚無いだろうけど、凄い香りだ」
私の血は....普通じゃない。でも....そんな事....
シュウはふと私の顔を見てどこか悲しげに笑う
「....なぁ。あんたがこの家に来させられてる理由を教えてやろうか?」
....ッ....知りたくないッ....
声が出ない私を他所に、彼は口を開く
「あんたの血はヴァンパイアの力を高める....だから、18になった今のあんたを手に入れた奴がこの家の当主になる
そうだ。あんたは"生け贄の花嫁"....
これが、お前の運命だ」