第3章 掟
"生け贄の花嫁"
それはヴァンパイアに血を与える女の事であり、今までにも数え切れない程の生け贄が死んでいったと聞く
その殆どは人間だ
ヴァンパイアに血を吸われ続けると、自らも血を啜る悪魔に変わるそうだ
でも、私はヴァンパイア....
そんなに私の血は、普通じゃないの....?
昔から私がこの家に来ていたのは、彼等と親しくなるように仕向けられていて....
全てはこの時の為?
お父様も御兄様も私の事を騙していた....?
そんなことって....
レナの目からは大粒の涙が零れる
シュウは絶望する私の顔を見て、少し嘲るように笑う
「恨むか?俺達も父親も
結局....お前も、俺達もアイツらの駒でしかない
されるがままに頷いて、従ってりゃそれでいいんだ....」
シュウは強く拳を握る
「....シュウが....当主になるの?」
彼の様子を見て、私は思わず聞いてしまった
すると、彼の顔は少し迷いを見せ、再び私を睨み付ける
ドンッ!!
「ッ!!」
シュウは私の首を絞める
「し....ゅ....」
息ができず、目からは涙が零れる
「俺はこの家の事なんてどうでもいいが....
老いぼれ共には時間がないんだろ」
ドサッ
「ゴホッ!!ゴホッ!!....」
シュウは手を離し、私をベッドの上におろす
そして、私の首元の髪を乱暴に避ける
「や、やめて!シュウ!」
シュウは抵抗する私の腕を掴む
「なんで....ッ....みんなとは....ともだちなのに....ッ」
その言葉にシュウは、はっと笑う
「本当、アイツらは残酷だよな。
昔から付き合わせておいて、本当は捕食者と餌の関係だったとか」
捕食者と餌....
みんなと私が....?
「あんたは、道具でしかない。
恨むんなら、自分の運命を恨むんだな」
ヴァンパイアの力を引き出す為に産み出された命....
これが、私の運命だっていうの?
この事は、レナの心に深い傷をつけた