第27章 懺悔
ルキの言葉が耳に届いた直後
レナの首には、鋭い牙が差し込まれた
痛みはなく、彼は優しく私の血を吸い取っていく
レナは安心したように、ルキの首に手を回す
一方、ルキも喉に流れる彼女の血の温もりを感じ、ずっと探し続けていた物が手に入ったと思った
しかし、もはや喉の乾きなど、どうでもよかった
彼女の血と混ざり合い、同じ気持ちになれた
その喜びでルキの心は満たされていくーーーーー
ヴァンパイアを惑わす、甘い甘い血の香りは、周囲にも広がっていき
『『!!』』
屋敷に居るコウ達だけでなく、逆巻兄弟達も魔界に広がる大きな力の変化を感じていた
それは、もちろん魔界の果てに居るカールハインツにも届いていた
彼は心底嬉しそうに微笑む
『運命が今、変わろうとしている
どんな障害があろうと、守り抜くその覚悟...
その想いに血が答え、与えたその力...
この世で、互いに愛し合うことほど美しく輝くものはない』
彼は満足そうに、手中の時計を閉じる
そして、ふと2人がまだ幼い姿が頭に浮かんだ
あの覚悟に満ちたその瞳は今でも覚えている
『約束は果たした...
これで、私も終わりを迎える事ができる...』