第27章 懺悔
その日、魔界から王が消えた
ーーーーーガシャンッ!!!
「ぐっ...なんだ、これ...」
逆巻の屋敷にいるシュウは突然、胸を抑え苦しみ出す
それと同時に屋敷は突然雷のような眩い光に包み込まれた
その光は、書斎に居たシュウに降り注がれ、彼の魔力が段違いに上がっていく
「シュウ!!」
レイジも驚きを隠せないでいた
屋敷は悲鳴をあげるような騒音が響き
凄まじい魔力に息が詰まる
だが、2人ともこの力に見覚えがあった
「ッ!!この力...親父か...」
「まさか...父上が」
こんな膨大な魔力を持つのは行方不明のカールハインツだけである
しかし、王の座から身を引いたカールハインツは、その力をシュウに託すことはしなかった
まだ、やるべきことがあるからと...
「っ!!」
大きすぎる力はシュウの身体を圧迫するように、入り込んでくる
この力を制御するにはかなりの時間がかかるだろう
けれど、シュウは苦しみながらも、その力を受け止めるように笑みを浮かべた
「...もう、役目を終えたってことか」
永きに渡り、王として君臨し続けたカールハインツもついに、眠りについた
彼は、ヴァンパイアにとっての本当の幸福を迎えられたのだ
膨大な魔力は次第に落ち着き、シュウはゆっくりと立ち上がる
「シュウ...」
レイジは目の前に居る兄の姿に驚きを隠せないでいた
昔の堕落した彼は一体どこへ行ったのか
今、目の前に立つ男に仕えることをレイジは少しも疑わなかった
そのため、この現実を受け止めるのは容易なことだった
『カールハインツは死んだ
レイジ、宴の準備だ』
王の死と、その栄光ある功績への祝いを込めてーーーー
今日、新しい王が誕生した