第26章 分かち合い
「!」
「今の俺は...自分でもおかしいと思うほど血に飢えている...
ただてさえ、混乱しているあいつをこれ以上苦しませてどうする」
ルキは彼女が傷つくことが何より怖かった
「......」
しかし、ルキの言葉を聞いても、アヤトは納得出来ないような表情を浮かべる
「でもよ、それでお前が苦しんでるのをレナは、無視出来ねぇだろ」
「!」
「お前があいつを守りたいって思ってんなら、今のレナだって...」
アヤトの瞳が憂うようにルキを見る
彼は夜会の日、どんなことがあってもこの2人は幸せになるべきだと思った
2人はお互いを守り、また、俺達の事も助けてくれた
言葉では言わないが彼はルキとレナに感謝している
だからこそ、くだらない父親のゲームのせいで苦しみを背負う2人を解放したいと思った
そんなアヤトの気持ちを全部分かったように、シュウはふっと笑う
「確かにあいつは、一方的に与えられるだけじゃ喜ばないタイプだしな」
彼女の性格上、ルキが傷ついていると知れば、それは余計に彼女の心を痛めることになるだろう
「それに...このままでは、貴方はレナの傍を永遠に離れることになる。それでもいいのですか?」
「っ...俺はッ...」
ルキは、頭を抱える
彼にとって、それはどちらも選びたくない選択だった
ならば、いっそ全てを終わらす事も考えた
けれど...レナの姿を思い浮かべる度に胸が締め付けられるように傷んだ
葛藤し続けるルキの心はもはや身動きが取れなくなっていた