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Forbidden love

第26章 分かち合い



ー逆巻家ー



「...っ...ぐっ...」


気を失ったルキの頭には、昔の記憶が夢の中で巻き戻されていた



ーーー俺が人前に出られる歳になった頃


カールハインツ様は俺に重要な役目と地位を与えて下さった


『ルキ

貴様のその頭脳と力を持って、私に協力して欲しい』


俺には断る理由もなく、任務に尽力した

その内容には、重い責任や一筋縄ではいかないことも多々あったが

俺は、あの方との約束の為...

また、あの方に無理言って共に住まわせてもらった弟達の為にも働き続けた


ーーーールキ様!


カールハインツ様が主催した、パーティに参加していたルキには多くの人々が群がっていた

彼は全く興味を示していなかったが、あの方の顔に泥を塗る事だけは避けていた

中には彼の地位に不満を持つ人も多く、少しでも穏便に事が治まるよう彼はどんな言葉にも耐えていた


「はぁ...」

慣れない宴の雰囲気に、途中で外に出る事も多かった

だからだろうか、逆巻の長男の気持ちは少し理解出来た

「あ、あの...ルキ様」

ため息混じりに空を見上げていると、1人の女が話しかける

何か言葉を発しているが、彼の耳には届かない

気づけば俺は女の手を取って、首筋を押さえ付けていた

上辺だけの笑顔、報酬の金、そして、目の前に居る彼女も...

全て、ルキの瞳には映っていなかった


ルキは女の首筋に牙を落とす


しかし、彼の表情はどこか悲しそうで、無理をしているようにさえみえる


白い肌に牙を差し込み、血を吸い取る


しかし、どれだけ飲み込んでも喉が潤うことは無い


ーーーーー違う...!!この血じゃ...ない!!


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