第26章 分かち合い
意識を一点に研ぎ澄ますように、レナは記憶を探る
しかし、ある所まで遡ると決まって同じ男が現れる
「っ!!」
恐ろしく、巨大な力を感じるその男に対し、私は何も出来ない
(どうして...ッ)
頭を抑え、無力な自分を責めるように拳を握る
すると...
ぎゅっ
突然、手を重ねられた
「大丈夫...?レナさん...」
私は、ハッと意識を取り直す
「アズサくん...」
声と話し方でアズサくんだと理解したレナは何事も無いように取り繕うとする
しかし...
「何か悲しいことでも...あった?」
「っ...」
アズサの手が私の目尻をなぞる
すると、頬に冷たいものが流れたのが分かった
「私ッ...」
自然に流れ出る涙が、言葉に出来ない痛みを代弁しているように思えた
止まらない涙を見て、アズサはレナの背中を摩ってやる
すると、突然外から大きな足音が聞こえてくる
バタンッ!
勢いよく扉が開かれ
「アズサ!」
「よかった~、レナちゃんもここに居たんだねって...」
入ってきたのは血相を変えたユーマとコウだった
2人はこの状況を見て、またも顔を見合わせる
そんな中、レナはアズサの腕を縋る想いで強く掴む
「お願いッ...アズサくん...
教えて...ッ」
腕を掴む彼女の力は不思議と力強く、3人は彼女の気持ちの強さに惹き付けられる
そして、レナは泣きながら必死に声を出した