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Forbidden love

第24章 喪失



夜会が終わった後、レナは比較的静かな、無神家に移された

しかし、レナがなかなか目を覚まさないため、彼の頭には悪い考えばかり過ぎっていた

多くの者が安息を迎える中、ルキだけはなかなか不安を拭いきれない

だが、そんな中もずっとルキは彼女の傍についていた


彼女が眠りについてから二週間後...


「んっ....」

「!」

いつものようにルキはレナの傍で彼女の目が開くのを待っていた

すると、目の前の彼女が体を少し動かした

そして...

「っ....私....」

彼女は何が起きたか分からないような顔をする

「レナ...」

ルキは驚きと喜びで思わず彼女を抱きしめた

もし、一生目を覚まさなかったら...そう思うと心が砕けるように傷んだ

しかし、彼はもうこの数週間の事を忘れられるほど嬉しかった

「る、ルキなの....?」

「!」

ルキはまたしても驚く

「お前....俺が分かるのか?」

レナは考えるように首を傾げる

「....貴方は....無神ルキ....

私にとって大切な人....そして....ッ....」

レナは必死に思い出そうとするが酷い頭痛で頭を抱える

「やめろ、無理に思い出す必要はない...

それに...」

また彼女を抱きしめ、頭を撫でる

「それだけ覚えていてくれれば充分だ...」

彼女は祥匙によって、記憶を消去させられた

だが、早いカールハインツ様の対応と彼女の強い意思のおかげで、全てを忘れずには済んだ

元より、自分の名を覚えいるだけでルキは心が安らいだ

しかし...

「ルキ...」

レナは手探りで、ルキの手や髪を触る

「どうした?」

様子のおかしい彼女にルキはある事に気づく

彼女の瞳と自分の姿の視点が定まっていない

どこか不安気な彼女の表情にルキは一つの結論に辿り着く

「お前..."目"が見えないのか...?」

レナはルキの手を強く握り、縦に頷く




彼女は祥匙によって、一部の"記憶"と世界を見るための"視力"を奪われた

きっと、俗世の物事を見て再び自分に反抗しないようにしたかったのだろう

2度と彼女の瞳がルキやこの世界を映すことは無い

そう思うとまた彼の心には悔しさが込み上げてきた




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