第24章 喪失
『おい!レナ、土産だ!』
バタンっ!
突然レナの部屋の扉が開く
「っ!!」
彼女は驚いたように肩が跳ねる
「もう!ダメだよアヤトくん!
レナちゃんは今目が見えなくて、音に敏感なんだから!」
コウの叱りつける声が響く
「わ、わりぃ....」
アヤトは素直に謝る
「もー、アヤトくんってばレナがびっくりしてるじゃない
レナ〜?大丈夫?お見舞いに来たよ♪」
続けて部屋に入ったライトが彼女の腕を握る
「ッ!!」
ベッドに乗る彼の重みで私は思わず身を引いた
「おい!ライト、離れやがれ!」
ドスンっ!!
アヤトはライトをベッドから引きずり落とす
「痛いなぁ....ひどいよアヤトくん
僕は動揺してるレナを落ち着かせようとしただけなのに....」
「余計警戒してんだろうが!」
2人が口喧嘩を続ける中、レナの手の中には一つのぬいぐるみが置かれる
形を手で探り、これがクマだという事に気がついた
「....テディ?」
そう答えると彼女の隣から小さな拍手が聴こえてくる
「偉いね、レナは
テディの事、ちゃんと覚えてるなんて」
頭に優しい掌が乗るのが分かった
それを見ていた2人は
「やっぱ、ぬいぐるみとか年下の奴とかの相手は
一番カナトが適任だよなー」
「当たり前です、ね?レナ」
「てゆうか~、レナ僕達のことはちゃんと覚えてる?」
彼女は頭の中を整理して、縦に頷く
「アヤトくんにカナトくんにライトくんだよね?」
「なっ!!」
「すごーい!やっぱり、僕達って忘れられない仲なんだねーんふっ♪」
確かにそれは良いことだが、ライトが言うとどこか裏が有るように聞こえる
「それより、何だよアヤト"くん"って
気持わりぃからやめろ」
「突っ込むとこそこー?」
コウが部屋の扉から顔を出して笑う
「うるせーな!」
「....ふふっ」
みんなの楽しげな声が耳に入ってきて、レナは安心したように微笑んだ