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Forbidden love

第23章 罪



『ぐっ....カールハインツ....ッ』

祥匙の心臓を刺したのは逆巻兄弟の父であり、ヴァンパイアの王であるカールハインツだった

「コウとスバルに呼ばれて来てみれば

やはり貴様はここまでか」

剣を抜くと大量の血が流れ、レナを掴んでいた祥匙の手には力が入らず、彼女はそのままその場に倒れた

バタッ...

「おい!しっかりしろ、レナ!」

ルキが声をかけるが、彼女は気を失い、重い瞳は閉じたままだった


「....何故だ....どうして今頃になって....

どうせ遥か昔から気付いていたのだろう?」

カールハインツは倒れた祥匙を見下ろす

「約束があったのだ」

「ッ!!」

「約束....だと....?」

彼は傷ついたルキとレナの姿を見る

そして、それは嘗て森で見たあの時の光景と重なる

「レナに危険が及ばぬように...私が見守ると....」

「カールハインツ....様...」

あの時、ルキは彼に仕える代わりにレナの安全をお願いした

彼は覚えていたのだ

「しかし、お前を今まで放任してきたのには理由がある」

「?」

カールハインツは空に浮かぶ紅い月を見上げる

「たとえお前が闇に堕ちようとも、永遠に友として迎えてくれと頼まれたのだ

私の最愛の義妹にな」

「!エレナが....」

祥匙の頭には、出会った頃の彼女の姿が思い出される

森の中で可憐な音色を響かせる彼女はひどく美しかった...

だが、彼女は赤い血に染まっていく

「あの子は、最期まで貴様が改正する事を願っていたよ

しかし、これ以上は見過ごせない

この先には、もはや暗黒の道しか残されていない

最期まで、貴様はエレナの気持ちを汲んでやることは出来なかったのだな」

「......」

私は...愛憎の末に彼女を失った

ヴァンパイアにとって殺すということは最高の愛情表現だ

しかし、それから私の中の何かが壊れ始めた

王になれば、全てを解決できると思い違いをしていたのかもしれない

あぁ、そうか...

元々、私には手に負えない程の器をあの女は持っていたのか...

祥匙の呼吸が浅くなる


『感謝....する....我友よ』




それの言葉と同時にカールハインツは剣を祥匙の首元に力強く振り下ろした




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