第23章 罪
「まぁ、そうゆうことだよね」
「!」
「ぐはっ!!」
祥匙の後ろに居たリマを捕らえていた男が血を吹き出しながら倒れる
「チッ...ライト、カナト」
カナトは顔に飛び散った血を拭き取る
「....まさか母様の兄である貴方が、僕達を狙っていたなんて」
カナトの顔はいつにも増して怒りに満ちていた
「アヤトくん...!!」
「リマ!」
アヤトは走ってくる彼女を抱きとめる
怪我はないようでホッと肩をなでおろす
そして、祥匙を睨みつける
「お前の思い通りになんていかねぇ
逆巻も無神も、夜崎だって!!」
アヤトの言葉に祥匙は軽く目を閉じる
ーーー全てを魅了し、全てをまとめ上げる...
ここまで、私に逆らう彼等の中枢はやはり、お前か...
"レナ"ーーーー
祥匙はふっと鼻で笑う
「全く、とんだ茶番だな
お前達はどこまでも愚かだ」
「なんだとーーーー
アヤトが声を上げた一瞬、激しい風が吹く
彼の横を何かが通り抜けた
「っ!!」
その場に居た全員の判断が遅れる
「!」
気づくと、祥匙はレナの目の前にいた
彼の指がレナの顎を撫でる
「レナ!!ぐっ...」
近いはずのルキの声がすごく遠くに聞こえる
完全にレナは祥匙の瞳に囚われていた
『やはり、もっと早く壊しておくべきだった
』
祥匙の瞳から目が離せない
「い、いや....」
頭の中に何かが入り込んでくる
『お前のその瞳は危険だ...エレナと同じ様にーーーー
自分の記憶が消されていくような
...何も見えない、怖い、嫌だ
もう忘れたくない、大切な記憶...
やっと会えたのに...
"ルキ"...ッ...
「レナ!」
離れていく...またしてもこいつの手によって...
ルキはレナに手を伸ばす
ーーージュパッ!!
突然、上から降り注ぐ血しぶき...
「グハッ....ゴホッ....」
何が起きたのか分からず混乱していると、祥匙の口から血が伝うのが見えた
そして、彼の背後に立っていたのは....
『久しいな、我友よ』
輝く鋭利な剣は祥匙の心臓を綺麗に通関している
それを握るのは、恐ろしくも気高い...
「カール....ハインツさま...」