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Forbidden love

第23章 罪



剣が降ろされる瞬間

アヤトはリマにその光景を見せないように軽く抱きしめた

生々しい音と共に彼の体からは光が発せられ、眩い明かりの中に消えていった

周りには何ともいえない空気が包まれる

敵は居なくなった

もう、この魔界を覆っていた不穏な流れは断ち切られるだろう

しかし、何か腑に落ちない

「........」

シュウは分かっていた

結局、この戦いで知らしめられたのはカールハインツという男の偉大さと残忍さだ

この男を周り、数々の戦争が起き、そして多くの者が死んでいった

これが、圧倒的な世界の創造主....

この男は全てを見通していたのだ

それに....

『レナ....頼む、起きてくれ』

「........」

ルキはレナに言葉をかけ続ける


そうだ....この戦いは犠牲者ばかりを出して、自分達は何も得ていない

「....っ....」

ルキとレナ....手にしたら直ぐに離れていく

まるで2人が共に居られる時間が決まっているみたいに


『ルキ』


「カールハインツ様....」


カールはレナの傍に膝をおり、額に手を当てる

彼女の瞳には涙が流れているのが見えた

『哀れな少女よ....

またしても、心を壊されてしまったのか....』

「っ....」

『ルキ』

カールハインツの瞳が彼を映し出す

「....はい」

今まで見た中で最も優しいその視線にルキは幽かに落ち着きを取り戻した

『次、彼女が目覚めた時、どうなってしまっているかは私にも分からない

だが、お前はずっと彼女の傍にいてあげなさい』

ルキは悔しそうに声を出す

「はい....

ありがとうございます....カール....ハインツ様」

恐ろしい想像に囚われてしまわないように

ルキは彼女の目に伝う涙を拭いとった





ーーーー紅い満月が雲の中へと隠れていく


長きに渡った魔界での戦いはひどい爪痕を残したまま終わりを迎えた


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