第22章 存在理由
ーーーーお願い....目を開けて....ッ
いつもみたいに私の名前を呼んでよ....ルキ
レナ....?
....ひどく体が重たい
あぁ、そうだ
俺は逆巻アヤトを庇って....
ふっ....
ルキはアヤトが祥匙に向けた言葉を聞いて、どこか安堵していた
『守りたいもの』
自分がレナの傍にいられなかったあの数年間....彼等はずっと彼女を守ってくれていた
恩返し...そんならしくない言葉は自分には似合わない
ただ言えるなら、最期くらい本当の意味であの方の役に立てた
『おい!ルキ....ッ!!』
ユーマ....か
酷く慌てた声だな
だが、すまない....指1本どころか声一つ出せそうにない
そうか....これが"死"というものか....
真っ暗で何も見えないな
だが、俺は1度この感覚を味わった事がある
全てを失い、あの方に仕えはじめたころ....
あの時も俺の中はずっと真っ暗だった
多くの堕ちたヴァンパイアを殺し....そうだあの時コウに初めて会ったんだったな
コウ、ユーマ、アズサ
お前達に出会えたことが、唯一の支えだった
ポタっ....ポタッ....
頬に水の様なものが降り注ぐ
なんだ....レナ....泣いているのか....
何も見えない筈なのに彼女の姿はどこかはっきりとうつっているようなきがした
泣き止むまで抱きしめて、キスをして
お前の笑顔がみたいのに....自分は結局、何も出来ない
守ると、これからはずっと傍にいると
約束したばかりなのにな....
すまない...レナ
ルキの幽かな意識の中にはずっと彼女の声が響いていたーーーー