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Forbidden love

第22章 存在理由



冷たいルキの手が私の手を握り返してくれることは無かった


「愛する女の為、身を犠牲にし、普通にしていれば死ぬこともなかった

ルキもまたあの男によく似ているな」

嘲笑うように口を開く祥匙にレナは言葉を返す

「お父様、私は貴方の元には戻らない

貴方は私の大切なものをたくさん奪った」

レナの瞳が真紅に染まる

「ッ!!」

「レナ...お前その眼...」

まるで、完全なヴァンパイアに覚醒したように彼女の体からは魔力が感じられる

レナはそのまま、ルキの上半身を支える

もう呼吸が止まりそうな彼に静かに語りかける

「ごめんなさい....ルキ....

私はまた貴方を苦しめるかもしれない....

でも....ーーーー

レナは強く自らの舌を噛む

口の中には血の味が広がる

レナはそのままルキの唇に自らの唇を重ねる

ーーーーールキ、愛してる....

だからお願い

私のところまで"堕ちてきて"ーーーー


喉にレナの血が流れていく

ドクンっ!!

胸が激しく波打つ

「んだこれ....」

「凄い魔力です....!!」

周りの皆はルキの体から発せられる異常な力に驚く

「これが...レナの力...」

祥匙も初めて目の当たりする光景にどこか嬉しそうに微笑む




ーーーこの味....

ルキは暗闇の中で、何かに引っ張られるような力を感じていた

また、口から伝わる温かい何かのおかげでルキは体が軽くなるのが分かった

これは....そうか...レナの...

『ごめんなさい』

頭にはレナの謝る声が響く

どうしてお前が謝るんだ?


強い血には強い力が付き物である

そして、それは永遠に逃れることの出来ない執着という形の苦しみが待っているということ

私は....


レナは唇を離し、涙の溜まった目をゆっくりと開ける

すると...

『お前は分かっていないな』

綺麗で惹き付けられる漆黒の輝かしい瞳

『俺が今までの間、どれだけお前の血に飢えていたと思ってる』

そんな瞳と再び視線が重なる


「...おかえり...なさいッ...ルキ」


『あぁ...ただいま…レナ』


懐かしく感じる冷たい手が優しく頭を撫でた

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