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Forbidden love

第22章 存在理由



ーーー殺られる

一瞬時が止まったような気さえする

リマの目からは涙が零れ続け、シュウは立ち上がろうとするが体が追いつかない

だが、アヤトの前には1人の影が映る

鋭い剣と自分より少し背の高いシルエットが重なる

ーーーーーグサッ...

「ぐっ!!」

「ッ!!」

体を貫き、血が飛び散る音

レナの瞳に紅い血がうつる

うそ....ッ....

綺麗な黒髪の彼がゆっくりとその場に倒れていく

「そんな....ッ!!

"ルキ"!」

レナはすぐ様ルキに駆け寄る

「ッ....グッ....!!」

彼の胸からは血が留めなく溢れ続ける

祥匙の剣はルキの心臓を貫いた

「ルキ....お前....」

アヤトは驚きと怒りでひどく動揺していた


「ルキ....!!お願いッ....目を開けて!」

ルキの瞳は閉ざされたままで、やっと息をしている感じだった

レナは頬に手を当て、必死にルキの名を呼ぶ

ーーーいやだ、いやだ、いやだ....ッ!!

今までの恐れとは違う、酷く言葉では言い表せないほどの恐怖を彼女は感じていた


一方で、祥匙は相変わらずといった表情で彼等を見る

「これで分かっただろう

私は本気だと」

ルキの血が付いた剣を持つ彼は、もはや悪魔にしか見えなかった

祥匙は鋭く自分を睨みつけるレナを見て手を差しのべる

「その瞳....最期にあったエレナにそっくりだ....

さぁ、レナ

あとはお前だ、私の元へ戻っておいで

そして、その血で私を導いてくれ」

危険さをはらんだその表情には、まるで自分と同じ所まで堕ちてこいとでもいうように欲望に満ちていた

レナの涙が目を閉ざすルキの頬にぽたぽたと落ちる

私が....夜崎が、ここまでみんなを傷つけた

『貴方達!!』

扉の向こうからは、客達を避難させたレイジ達が走ってくる

血の匂いを嗅ぎつけたユーマ達は青い顔をして目の前に倒れる兄の姿を見る

「....うそだろ....

おい!ルキ....ッ!!」

ユーマの声を聞いても、彼の瞳が開くことは無い

くだらない父の望みの為、シュウやアヤトは危険に晒され、この世で最も大切な彼を瀕死の状態まで追い詰めた

レナは止まらない涙を拭いながら、ルキの冷たい手を握りしめた
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