第21章 反逆
『もう止めて!!』
「「!!」」
気づいた時にはもう私は走り出していた
そして、2人の間に入り戦いを止める
「レナ!」
デニスは剣を下ろす
「何のつもりだ」
レナはデニスと向かい合う
「私は貴方と争いたくない」
「ッ!!」
「はっ、争いたくないだと?
俺がお前の兄に何をしたか、お前は見たはずだ」
「!」
「あの記憶はただの夢ではない
俺の力で故意に貴様に見せたんだ」
「なんだと?」
デニスは自らの瞳に手を当てる
「俺は記憶を操る力を持っている
お前の見た悪夢は現実だ」
レナは兄の姿と悪魔のような男の横顔を思い出す
「確かに貴方のした事は絶対に許せない....
でも....復讐なんてするべきじゃない
それに、貴方も気付いているはずよ....」
レナは少し言いづらそうに歯を噛み締める
「...貴方と私は...お父様に生み出された存在...」
「!」
「ッ!!」
デニスの顔色が変わる
「お父様は...あの方を倒すために、私達を利用しようとしてる...
だからーーーー
「黙れ!!」
「!」
デニスはレナの言葉を遮り、怒りの目を向ける
「俺はお前の様にあの男の駒じゃない!!
ただ生かされるままに過ごしてきたお前と同じにするな!!」
「なんだと....!!」
ルキはデニスに刃先を向けようとする
そんなルキを鎮めるようにレナは首を振る
「デニス....お願い
もう、私の仲間に....家族に手を出さないで
そして....」
レナの瞳が揺らぐ
『もう....自分を傷つけないで....』
「ッ....」
デニスはどこか心の奥底を貫かれたように感じた
ーーなんなんだ、この女は...
記憶で見たのとはまるで違う
だが...こいつもあの男の血を持つ者
俺の一族は、夜崎家によって壊された...
そう...父上も、母上も...皆奪われた
だから、俺はもう...ーーーーー
『撃て』
ーーーーーーバンッ!!
「「っ!!」」
「ぐっ....!!」
それは一瞬の事だった
レナ達の耳には酷く乾いた銃声が鳴り響く
そして、目の前には胸から血を流し倒れるデニス=ラルクの姿があったーーーー