第20章 襲撃
『デニス....ラルク』
レナは拳を強く握る
そうこの男は、今この世界を騒がせている首謀者....そして、レオを殺した張本人....
彼は鋭い目を向け、不敵に笑う
「お会い出来て光栄だ
夜崎レナに無神ルキ」
高飛車な彼の口調からは何か堂々たる貫禄がみえた
カールハインツや祥匙と同じ
圧倒的な何か....
けれどレナはその気迫に動じることなく彼を軽蔑の目でみる
その視線に気付きデニスはレナと目を合わせる
「....その憂いを帯びた瞳に、その血の匂い....
あの記憶と同じ....」
彼は少し驚きながら満足したように微笑む
デニスは一瞬視線を下げ、まぁいいと言って話題を変える
「今、会場を荒し回っている怪物は、かつてラルク家に攻め込んで来たこの家の兵士達だ」
「!」
デニスは夜崎家の兵を隔離し、意図的に堕落させていた
「私がここに居るのはお前達に話があったからだ
会場に居るものは人質と思ってもらって構わない」
「....一体、貴方は何が目的なの....」
レナは震える拳を強く握りしめる
デニスは少し嘲笑うように口元を緩ます
「俺にはいくつか成し遂げなければならない使命がある」
「夜崎家の崩壊...か?」
「っ....」
「ふっ、流石はカールハインツの参謀」
デニスの目付きがますます鋭くなる
「そうだ。夜崎祥匙は我が父の代からラルク家に干渉するようになり、一族から全てを奪った
お前達も知っているだろう、ラルク家がこの家の裏でどれだけの血を浴び、利用されてきたか....」
「指図め、飼い主を噛む猟犬だな」
「貴方達がされてきた事は許されない事だけれど、こんなやり方は....
それに、どうして関係の無い人達まで....レオ御兄様だって....」
レナの目には涙が溜まる
デニスは一瞬、その儚くも真っ直ぐな瞳に惹き付けられる
しかし....
「....悪いが、俺には人の情などは持ち合わせていない
それに、もう俺がどうしようとこの復讐は止まらない」
彼の言葉に悪寒が走る
「....どうゆうこと....」
デニスはその赤い瞳で月を見上げ、不敵に微笑む
『すでに手遅れだーーーーー』