第20章 襲撃
会場の方から客の悲鳴や物が壊れる音が聞こえてくる
その音は段々大きくなっていた
このままでは、ここにも直ぐ敵が来るだろうとルキは思い、レナを横目で見た
あたりの様子を確認し、ルキはレナの手を引く
「レナ。とにかくここから離れるぞ」
ルキは会場からなるべく遠くへ避難するよう言う
しかし....
「そんなの無理だよ!だって会場にはみんなが!」
夜崎家主催の夜会で問題があった以上、責任はレナにもある
元より、彼等を置いて逃げるなんてこと彼女には出来なかった
「ここには逆巻の奴等もコウ達も居る、まずはお前の安全が第一だ」
「でも....!!」
ルキは酷い胸騒ぎをおぼえていた
なんだか、悪い事が起こる....
また再び全てが奪われるような....
そう....エレナ様と父上が殺されたあの日と同じーーーーー
『やっと、会えたな』
「「!」」
背後から、悪寒を感じさせる物言いで、酷く冷たい声が聞こえてきた
振り返ると
2人が並ぶ後ろの扉には1人の男が立っていた
その男は酷く冷めた目をして、その目には真紅の血のように赤い虹彩が色ずいていた
ルキはレナを庇うように後ろを向く
「お前は....」
ルキは驚いたようにその男を見る
「ッ....」
一方、私は驚きと共に御兄様が亡くなったあの時の記憶が蘇る
そして、その記憶の男と目の前の男が重なる
赤い蝙蝠のような眼を持った悪魔は御兄様に何度も剣を突き立てた
忌々しい記憶....
レナは目の前の男を憎悪と哀しみの眼で映す
私は知っている
この男の名をーーーーーー