第2章 御兄様
突然、家の危機を知らされ私はとても驚いた
ラルク家が攻撃的な一族だとは聞いていたけれど....
レナは不安気な顔をする
それを見てレオは彼女の頭を撫で、私と視線を合わす
「お前は暫らくの間、カールハインツ様に預ける事にした」
「!」
「はぁー?ちょっと待てよ。何で勝手にそんな事になってんだ」
アヤトは不満そうに怒鳴りつける
「大体、ラルクの奴等は俺達だって狙ってんだろ」
「確かにそうだ。
だが、力が弱ったといっても、まだヴァンパイアの王はあのカールハインツ様だ。
奴等が簡単にこの家に手を出すとは思えない」
ラルク家の長とカールハインツは昔、直接和解したと聞いている
まぁ、上辺だけの物に過ぎないだろうが、伏線には充分だった
「分かりました。夜崎の方々はラルク家討伐に....彼女の事は我々にお任せ下さい」
レイジは軽く首を下げる
「まって!でも、御兄様達は!」
「俺達は奴等を止めに行く。
それに....ラルク家には貸しがあるからな....」
彼はとても険しい顔で拳を握る
私はある人物の顔が浮かぶ
「....もう、絶対失うわけにはいかない」
ぎゅっ
レオは優しく抱きしめる
「御兄様....」
彼の胸の中は温かくて私を安心させる
「戦いが終わったら、またみんなでパーティーを開こう
必ず帰ってくる」
そう言い残し、レオ御兄様は家を後にした