第2章 御兄様
今日は屋敷が騒がしかった
私は長いドレスを引きずり、階段をゆっくりと下りる
どうやら、みんなも集まっているようだった
群がるのを嫌うこの家の人達が珍しいなと思いながら、私は部屋に近づく
「頼んだぞ....おい、シュウ。聞いているのか?」
客間からは、聞き覚えのある人物の声がする
私はこの声の主を知っていた
「御兄様!」
客間にはレナと同じ茶色の髪をした短髪の男性がいる
背が高く、貫禄があり、明らかに彼等よりも年上なのがみてとれる
「レナ!久しぶりだな」
「はい!」
私には2人御兄様がいる
本当はもう1人居たのだが、私が幼い頃に亡くなっている
彼は夜崎家次男、夜崎レオ
私とは5歳離れており、もう一人前に家のために働いている
彼は頭が良く、父や御兄様にいろいろと任されている
そのため会うことはほとんど無い
きっと、彼は時期当主の御兄様の補佐になるだろう
私はそんな彼を誇りに思い尊敬している
彼は私の頭をなで
「遅くなったが誕生日おめでとう。
立派に成長したな」
優しい笑顔で微笑む
「ありがとうございます」
私は裾を持ち、一礼する
そして、ふとした疑問を投げかける
「でも、御兄様がどうしてここに?」
逆巻兄弟と彼も昔からの付き合いで面識はもちろんある
しかし、多忙な彼が何の用なのだろうか
と私は疑問に思った
すると、彼は少し顔色を変え、私の肩を持つ
「レナ」
真剣な眼差しに、私は少し体が固まる
「今、魔界では大きな戦争が起ころうとしてる」
「えっ....」
「ラルク家をお前も知っているだろう?」
ラルクという名は魔界ではとても有名だった
彼等は戦いを好み、多くの魔族を葬ったと聞いている
彼等は何十年か前に、生け贄の花嫁から強力な力を持つ子供を生み出した
そのため、多くの族は彼等と友好条約を交わしている
「一昨日、彼等は、全ての条約を破棄した。そして、次々と魔族を殺している」
「そんな!」
「これにはお父様や御兄様も黙ってはいない。
奴等もいつ俺達を標的にするか分からない。もうあの家も安全ではなくなった」
信じられない話で私は動揺する