第18章 表裏
それから彼女達は度々屋敷を訪れた
俺は不思議に思って尋ねると父上は、言葉を渋っていたが、その後、温かく俺を抱きしめた
父から告げられたのは
俺とレナが"許嫁"だということだった
俺の心は酷く恐れを覚えた
無意識にも許嫁という言葉に警戒していたのかもしれない
この時、生まれて初めて父に失望した
両親の望まない結婚の上に自分が産まれたにも関わらず
それを息子の俺にも同じ道を歩めというのか....
父も俺の気持ちに気づいたのだろう
抱きしめる手が震えていた
ーーーールキ
父上の言葉は今でも覚えている
『....お前に隠し事はしたくない
本当に大切に思っているからこそだ
お前には、間違った道を歩んでほしくない....』
そう言った父から聞いたのは
2人の事と、エレナと夜崎祥匙との間に産まれたのがレナだということ
そして、謝罪だった
ルキの胸は締め付けられるように傷んだ
自分と同じ立場に置かれた彼女に同情心がうまれたのかもしれない
俺の失望心はすっかり消え失せた
残った気持ちは彼女を守りたい
それだけだった