第17章 舞踏
屋敷の中から漏れる音楽に乗って
私達は手を取り合う
ルキくんの手はとても大きくて安心感があった
しかし、腰に手を当てられ、密着していて私はとても緊張した
心臓がどきどきしてる
見上げてみる彼の顔はいつもより柔らかくて
私の表情も自然と緩んだ
ルキくんは靴の高くて動きにくい私をリードしてくれる
「上手いじゃないか」
そう言って微笑む彼はとてもかっこよくて私は見惚れてしまった
「ルキくんこそ」
何もかも完璧な彼は凄く人気なのだろう....
他の女性がほっておくはずがない
ここに来る前も誰か他の女性と踊ったのだろうか....?
こんな事を考えてしまう私はどこか後ろめたくなる
そんな彼が今は....今だけでも私と踊ってくれているのに
『どうして....断ったんだ?』
「えっ....?」
「他の男からも誘われたんじゃないのか?」
先程の事を思い出す
「それは....レイジに信用できない男には近づくなって言われてて」
どうしてルキくんがそんな事を聞くのだろうか....
私の返答を聞いて彼は納得したと同時に満足そうに微笑んだ
「なら、俺は信用されているということか?」
私は少し恥ずかしくなって下を向いた
「ルキくんは....絶対に私の嫌がることはしないから」
ルキは少し苦笑して
「お前は俺を過大評価し過ぎだ」
そう言って私の頭を撫でた
優しい微笑みは私の心を溶かした
けれど、私は分かってしまった
この想いに気づくほど私の心は痛む
レナの足がピタリと止まった
すると....
ぎゅっ
「ッ!!」
レナはルキの胸に飛び込む
突然の事にルキは動揺する
彼女は肩を震わせ泣いていた
そして、レナは呟くように口を開く
「ずっと....怖かった....」
「!」
「ルキくんが、私の事を逆巻に戻して
私が血を吸っちゃったから....ッ....記憶を見たから...嫌われたのかって....思って....
ずっと、謝りたかったの....
ごめんなさい 」
「ッ....」
泣きながら喋る彼女を見て俺は自分が情けないと思った
俺はこいつの泣き顔が一番苦手だと言っておきながら
いつも泣かせているのは自分じゃないか…
ルキは許しをこうように彼女の背中に手を回した