第17章 舞踏
月夜に現れた騎士ともいえる王子様はまた私を助けてくれました
「何故、こんな所に居る
まだ夜会の途中だろう」
少し気まずい静寂を破ったのはルキだった
「....ごめんなさい」
私は思わず俯く
今は彼と目を合わせることはできなかった....
そんな彼女を見てルキはため息をつき、彼女の肩に触れ少し乱れた服を直してやる
「怪我はなかったか....?」
そんなさり気ない言葉も今の私には胸が張り裂けそうなくらい嬉しかった
「うん
ありがとうルキくん....ほんとに....」
先程とは態度の違うルキに心はぎくしゃくする
本当はもっと聞きたい事も伝えたい事もたくさんあるのに、言葉が喉から出てこない
俯く彼女を見てルキは月を見上げる
「今日始めてお前を見た時から言いたかった事がある」
ルキは俯く彼女の前へ跪き、手を差し出した
「ッ!!」
彼の白い大きな手が目に止まる
『とても綺麗だ、レナ
俺と踊ってくれないか....?』
彼の言葉は堂々としていて、どこか不安気だった
他の人達とは全く違う....
手を差しのべる彼はすごくかっこよくて
私はずるいと思った
そして、同時に彼への気持ちが溢れ出す
彼は知らないのだろう
貴方の言葉1つ1つを聞いて私の心がこんなにも押しつぶされそうになっていることも
勘違いをしてはいけないと心を痛める私の気持ちも
しかし、私にはその手を振り払う勇気も理由もなかった
どんなに傷んでも私の心は彼に繋がれてしまっているらしい
触れば消えてしまうんじゃないかと思いながら
私は彼の大きな手に
ゆっくりと手を重ねたーーーーー