• テキストサイズ

Forbidden love

第17章 舞踏



私は夜会が進む中、夜崎家用に作られた席に腰を下ろしていた

隣にはいくつか席が空いている

お父様もまだ姿を現さず
御兄様も姿を見せない

また、逆巻のみんなもそれぞれどこかへ行ってしまうし、私は思わず俯いてしまっていた

『レナお嬢様』

声をかけられ顔を上げると、見慣れない女性と私と同じ歳くらいの青年が並んでお辞儀をする

『これは我一族の跡取りでございます。
よろしければ貴方様のお目にお止めくださいませ』

これで何度目だろうか....
先程からレナを正妻にさせようと御曹司達が幾度となくやってくる
お父様達が居ないのをわざと見計らっているのだろう

『覚えておきます』

そう言って私は精一杯笑みを作る

すると、青年に手を差し伸べられた

『私と踊って頂けますか?』

会場にはワルツが流れている
中央では多くの人達がそれに合わせて身を揺らしていた

しかし、ふとレイジの言葉を思い出す


ーー今日だけはどんなに失礼だとしても、信用ならない男性にはあまり近づいてはいけませんよ

いくら、薬の力を使ってもヴァンパイア達にその血の力を完全に隠し通す事はできません

きっと、皆あなたの血を狙って来るでしょうーーー

「申し訳ございません
今はあまり体調が優れないので....」

そう言い放つと大人しく2人は客の中へ消えていった

「はぁ....」

ふと客の中を見ると無意識にも彼の姿を探してしまう

楽しげに踊る男女の姿を見るレナの目はとても羨望に満ち溢れていた

本来ならば、シュウと踊る予定だけど彼が私と踊るはずないし
今日は1度も姿を見ていない

今だけは私の周りに味方は居ない
本当に傍にいて欲しい人は番犬として、今も客達を見張っているのだろう

考えれば考えるほど虚しくなる心をどうにかしようと私は立ち上がり
会場の裏から外へ向かった

/ 174ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp